昨今、不動産取引における報酬である『仲介手数料』について、“無料”や“半額”を前面に打ち出した仲介業者様を多く目にするようになってきました。
不動産売買は高額な商取引のため取引で生じる報酬も高額で、特に個人においては、少しでも費用負担を抑えたい観点から売買が具体的となった際に、少しでも報酬額を安くしてくれる事業者様に相談をされる方が増加傾向にあると感じております。『仲介手数料』は上限のみが定められている報酬となるため、上限額の提示に対し「サービス対して高額」と感じられることや、「仲介業者様の存在および介在価値への疑念」を抱かれる方もいらっしゃるかと思います。
一方で、『仲介手数料』=“サービスクオリティ”との心配をされる方のお声も頂戴するようになりました。
そもそも、不動産仲介業含む宅地建物取引業を営むためには宅地建物取引業免許を取得しなければなりません。また、宅地建物取引業免許申請の要件として、以下の3点をクリアしていることが最低限必要となります。
①「欠格事由」に該当しないこと
②「事務所の形態」を整えていること
③「宅地建物取引士」を設置していること
不動産仲介業と聞きますと、一見、「仲介するだけなので人件費のみ」と思われがちな業種と認識しておりますが、実態としては、事務所の賃料・事務所の設備機器・人件費(特に、宅地建物取引士)・交通費・雑費等は最低限必要となり、比較的多くの固定費を要する業種かもしれません。特に、従業員数と比例して増加する固定費が多い業種かと思いますので、大手の事業者様ほど、『仲介手数料』の値引きを行いづらい状況といえます。
そのため、一部の“無料”や“半額”を前面に打ち出した仲介業者様においては、当然に“報酬減額”=“売上減少”となりますので、固定費を削減することで事業として成り立っているケースが多く、削減している固定費次第では、“サービスクオリティ”に差が発生することもあるかもしれません。
幣協会はセカンドオピニオンとして、『仲介手数料』=“サービスクオリティとはならずに、可能な限り支出を抑えて不動産取引が行えるよう、またご期待にお応えできますよう、日々、ご相談者様の支援に努めております。
※国土交通省にて告示されております条文を参考までに以下に引用いたします。
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宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)
最終改正令和元年八月三十日国土交通省告示第四百九十三号
第一 定義
この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額をいう。
第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者(課税事業者(消費税法第五条第一項の規定により消費税を納める義務がある事業者をいい、同法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)である場合に限る。第三から第五まで、第七、第八及び第九①において同じ。)が宅地又は建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。)は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。
二百万円以下の金額百分の五・五
二百万円を超え四百万円以下の金額百分の四・四
四百万円を超える金額百分の三・三
(引用:https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf)
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